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乳児用液体ミルクが日本でも解禁
海外では広く普及されている「乳児用液体ミルク」。
日本でも2018年夏にいよいよ解禁されるとのこと。
厚生労働省が液体ミルクに関する国内基準(製造方法など)を新設する方向性を示しました。
母乳、粉ミルクに加えて、液体ミルクという選択肢が増えます。
そこで液体ミルクのメリット・デメリット、安全性や危険性などについて調べてみました。
乳児用液体ミルクと粉ミルクの違い
乳児用液体ミルクと粉ミルクは成分的には大きな差はありません。
どちらも、牛乳を素に母乳に近い成分に作られています。
液体ミルクと粉ミルクの大きな違いは、なんといっても利便性の高さ。
粉ミルクの場合、授乳までの手順が多く、外出先での授乳に一苦労、なんて経験のあるお母さんも多いのでは。
一方、液体ミルクは封を切るとそのまま授乳できることが大きなメリットです。
とは言え、液体ミルクは
「添加物が多そう」
「雑菌が心配」
といった不安もあります。
実は添加物に関しては液体ミルクも粉ミルクもほとんど差はありません。
衛生面に関しては、1回飲みきりなので無菌充填されている液体ミルクの方が安全性は高いとのこと。
安全性や成分の面では大きな違いは無い、と考えても良さそうです。
乳児用液体ミルクがおすすめな理由
授乳の時間や手間がかからない
液体ミルクの最大のメリットは、授乳までの手間や時間を省略できることです。
粉ミルクの場合、
①手を洗います
②消毒済みの哺乳瓶に必要量のミルクを入れます
③沸騰後、70度以上のお湯を哺乳瓶の2/3~1/2まで入れます
④哺乳瓶を軽く振ってミルクを溶かします
⑤出来上がり量までお湯を追加します
⑥乳首を付けて、さらにミルクを溶かします
⑦ミルクが完全に混ざったら、冷水または氷水で人肌まで冷まします
⑧哺乳瓶の外側に付いた水滴をふき取ります
⑨授乳前に2、3滴、手首や腕の内側に垂らして温度を確認
と、かなり手順が多いです。
お母さんの体調が悪い時などは、重労働とも言えます。
また、ミルクを作る途中でうっかり雑菌が混入してしまう可能性もゼロではありません。
液体ミルクの場合、封を開けて、キャップに乳首を装着すればそのまま飲ませることができます。
常温保存可能なので、お湯を用意する必要もありません。
災害時など非常時でも安心
東日本大震災や熊本地震の際、救援物資としてフィンランドから乳児用液体ミルクが届けられ、とても喜ばれたそうです。
水やガス、電気が自由に使えない災害時では、粉ミルクを作ることは至難の業。
一方、液体ミルクはキャップを開けて乳首を付けるだけで授乳可能。
水やガス、電気が無くても授乳できるというメリットがあります。
また、液体ミルクは常温での保存が可能。
備蓄しておけば、いざという時にも安心です。
お母さんの体調が悪くて授乳できない
お父さんと赤ちゃんがお留守番
そんな時でも、液体ミルクがあればあわてずに済みますね。
外出時の携帯性
赤ちゃんを連れて外出する度に、魔法瓶にお湯を入れて持ち歩いているお母さんも多いのでは。
何よりも、外出先で哺乳瓶を消毒するのは難しいですよね。
使い捨ての哺乳瓶を使用したり、哺乳瓶を2、3本用意して持ち歩くなどの工夫が必要です。
双子など、授乳期の赤ちゃんが2人、3人ともなると大変。
乳児用液体ミルクだと、お湯や哺乳瓶を何本も持ち歩く必要がありません。
封を切ってそのまま飲ませることができるので、授乳場所にも困りませんね。
「授乳できる場所を外出前にあらかじめ調べておく」
といった手間も省けるかもしれません。
乳児用液体ミルクの使い方は?
乳児用液体ミルクは、成分などは粉ミルクとほとんど変わりません。
そのため、粉ミルクと同じように使用してOK。
とは言え
「私は粉ミルクの方が慣れている」
「完母なので、液体ミルクは必要無い」
というひとも多いかもしれません。
外出時のみ液体ミルク
災害時に備えて液体ミルクを備蓄しておく
など、母乳、粉ミルク、液体ミルクを上手に使い分けると良さそうです。
乳児用液体ミルクの危険性は?
「乳児用液体ミルクは添加物や保存料が心配」
「衛生面での問題が無いか不安」
液体は粉末よりも雑菌が繁殖しやすく、劣化が早いイメージがあります。
実は、安全性や衛生面に関しては、粉ミルクよりも液体ミルクの方が優れているのだとか。
液体ミルクは無菌充填されており、1回分ずつ使い切り。
粉ミルクのように、開封後、長期間保存することもありません。
また、自宅での殺菌は細心の注意を払っていても、どこで菌が付着するか分かりません。
WHO(世界保健機関)によると、感染リスクのある乳児には粉ミルクよりも液体ミルクの方が安全性が高い、とのこと。
安全性といった面では、液体ミルクの方が粉ミルクよりも安心できる、と言っても良いかもしれません。
乳児用液体ミルクの添加物や保存料は?
液体ミルクの添加物や保存料は粉ミルクとほぼ同じです。
液体ミルクだから添加物が多い。
液体ミルクだから危険な保存料が使用されている。
といったことはありません。
厚生労働省がまとめた基準では
粉ミルクと同様の栄養分を加える
120度で4分間加熱殺菌する
など容器の材質から殺菌方法まで細かく制定されています。
乳児用液体ミルクの価格は高い?安い?
乳児用液体ミルクは、粉ミルクよりも割高です。
海外の場合、粉ミルクと比較して価格が約2倍割高、といったケースもあるようです。
やはり便利な分、お値段が高い点は仕方が無いのかもしれません。
個人輸入された海外製の乳児用液体ミルクは大丈夫?
ネットの通販サイトなどでは、個人輸入した海外の乳児用液体ミルクが販売されている場合があります。
もともと海外では普及している乳児用液体ミルク。
災害時には、海外からも救援物資として送り届けられています。
しかし、安易に個人輸入された乳児用液体ミルクを使用するのはおすすめしません。
赤ちゃんとは言え、欧米人と日本人では体質が異なります。
栄養成分や添加物などの基準も日本とは異なります。
やはり日本の基準に合わせて、日本で製造された商品の方が安心です。
心配や疑問があっても、日本の会社であればすぐに問い合わせることができます。
乳児用液体ミルクをおすすめするひとは?
乳腺炎、産後鬱などで授乳が困難なひと
祖父母などに子どもを預けて仕事をしているひと
母乳の量が安定しないひと
風邪などを引いてしまって授乳できないひと
など、働いているお母さんにはかなり役立つアイテムになるのではないでしょうか。
乳児用液体ミルクのメリットとデメリット
デメリット
粉ミルクに比べると価格が割高
導入されたばかりなので改善の余地がある可能性
ゴミが増える
乳児用液体ミルクのデメリットは何と言っても価格が割高であること。
また、導入されて日が浅いため、実際に使用すると様々な不便を感じる可能性もあります。
さらに粉ミルクに比べると、ゴミの量が増えてしまうのも、ちょっと煩わしい点です。
外出時だけ乳児用液体ミルクを利用する
体調が悪い時だけ乳児用液体ミルクを利用する
など、いきなり完全に液体ミルクに変えるのではなく、少しずつ様子をみながら導入すると良いかもしれません。
メリット
お母さんの身体的、精神的負担が軽減される
お父さんも育児に参加しやすい
外出先で、授乳に悩まずに済む
災害時の備蓄として保管できる
赤ちゃんの感染症リスクを低減
など、乳児用液体ミルクが育児の負担軽減には大きく貢献してくれることは間違いなさそうです。
まずは、災害時の備蓄として導入してみると良いのではないかと思います。